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泥土の香りが滲み出た友好交流 – 薛おじさんと日本の小学生の田植え体験
2022-06-22 10:31


6月17日早朝、ネットユーザーに「薛おじさん」と呼ばれている薛剣中国駐大阪総領事は、領事館の仲間を連れて大阪から車で40分の奈良県葛城市立当麻小学校に到着した。ここは1874年に設立され、150年近くの歴史を持つ有名な学校で、山の麓に建てられ、地元に密着し、閑静で暖かく、優れた機能性を備えた学校だ。薛おじさんは今日、学校と日本関西宋慶齢基金会の要請を受けて、子供たちと一緒に田植えをしに来たのである。




山野光太郎校長、葛城市教育委員会椿本剛也教育長、奈良県PTA協議会奥田成敏副会長の温かい案内の下で、薛おじさん一行は歩きながら歓談し、ゆっくりと校長室に足を踏み入れた。薛おじさんは校長先生の紹介に耳を傾け、学校の状況を注意深く尋ねた後次のように述べた。中国と日本は2000年以上の友好交流の歴史を持っており、奈良は日本と中国の交流の原点であると言うべきで、私自身は奈良を何度も訪問し、東大寺、唐招提寺など中国との深い歴史的な絆を持つ古寺や名刹を訪れた。今日、当麻小学校に招かれたのは私にとって初めての小学校訪問である。田植えは貴校の伝統的な農業体験プログラムとして50年以上続いているとのことで、生徒の皆さんと一緒に労働体験するのを心待ちしており、これを機会に中日友好の苗も育てていきたいと思う。

授業のチャイムが鳴り、話もそこそこに、薛おじさん一行は早速更衣室に向かい、これから始まる田植え体験の準備をしはじめた。数分も経たないうちに、スーツ姿の薛おじさんは作業服に着替え、足にはゴムの長靴を履き、まるで農民のおじさんのような格好に変身した。






曲がりくねった緑の小道に沿って、薛おじさん一行は、学校が特別に開拓した小さな稲作の試験田に先に到着し、その後田植え体験に参加する5年生の生徒たちも列を組んでやってきた。担任の先生がてきぱきと整列させた後、薛おじさんは列の前に立ち笑顔で自己紹介した。「私は中国駐大阪総領事です。 今日、皆さんと一緒に田植え体験をさせていただきますので、よろしくお願いします。今日は数名の総領事館の職員のほか、また特別館員のパンダの『パンパン』を連れてきており、オリジナルグッズも持ってきました。好きになっていただけたらと思います。」

2人の生徒代表は、前に進んで薛おじさんから「パンパン」のぬいぐるみやマスクなどのパンダグッズを受け取った。生徒たちが「パンパン行かないで」「パンダにいてほしい」との歓声の中で、担任の先生がぬいぐるみの「パンパン」に席を作り、畦道に座らせて、生徒たちと薛おじさんの田植えを見守ってもらった。








地元の農家のおじさんの指導の下、田植え体験が本格的に始まった!おじさんは皆に、人差し指と中指をそろえ、親指とで苗の根を挟み、泥に垂直に挿入するように教えた。生徒たちはその後、列を作ってグループで水田に入り、田植え体験を始めた。最初は、生徒たちは裸足で泥だらけの水田に入るのを少し怖がっていたが、実際に中に入って植え始めた後はやめられなくなってしまうほどだった。薛おじさんは生徒たちと肩を並べて一列に並んで、地元の農家おじさんが前もって引いた線に沿って、一本一本真剣に苗を泥の中に植えていった。薛おじさんは、田植えしながら自分の幼年期の話を生徒たちと共有した。自分は田舎で生まれ、大学卒業まで、実家の畑仕事を手伝っていて、田植えの達人であったと紹介した。さらに、中国は稲の原産地で、栽培歴史が長く、およそ1万年前に長江流域で稲作が始まり、縄文時代後期に日本に伝わったと言われている。 (オオ!稲作も中日交流の大きな成果なんですね! 両国の間は、本当にいろいろな分野でさまざまなつながりがありますね!)






生徒たちはたいへん喜び、興味津々に薛おじさんのそばに近寄った。 彼らは中国についてあまり知らないが、いくつかの簡単な中国語の言葉を披露し、「ビンドゥンドゥン」を言い出した人もいた。 「ビンドゥンドゥンって何?」薛おじさんは、その場で質疑応答を始めた。「テレビで見たことがあるような気がする」「あれ、なんだったっけ。思い出せない。」みんなあれこれ口を出し当てはじめた。 「覚えてくださいね。ビンドゥンドゥンは北京冬季オリンピックのマスコットですよ。とても有名なんです。機会があったらぜひ北京へ見に行ってください。」薛おじさんが謎を解き明かした後、生徒たちは次々にかわいいビンドゥンドゥンに一日も早く会いたいと言っていた。


「みなさん、これは何か知ってますか」 しばらくして、薛おじさんは魔法使いのように水田の中から「宝物」をすくい出して生徒たちに見せた。「カタツムリだろう。」生徒たちは困惑して言った。「これはタニシなんだよ! 水田でよく見かける。中国では、これはおいしい食べ物でもあるよ。スパイシーでおいしいタニシの唐辛子炒めを作ることができるから、家に帰った後、お父さんお母さんに料理にしてもらってみてください。」薛おじさんはタニシを持ち上げて楽しそうに生徒たちに紹介した。


田植えは重労働な作業であり、技術を要する仕事でもある。水の深さ、苗の姿勢、苗と苗の間隔などの各要素が苗の活着率と穂のふくらみに直接影響する。 薛おじさんは、みなさんに中国の農民が田植えの効率を向上させるための「苗投げ」法を紹介しただけでなく、自ら小さな水田を開拓し、生徒たちをあっけにとらせた「中国スピード」を披露した。



時間があっという間に過ぎ去り、楽しくて充実した田植え体験授業が終わった。薛おじさん一行は生徒たちと別れを惜しみ、秋に稲が成熟した時に、皆さんと一緒に米を収穫し、ハードワークの成果を分かち合うことを約束した。




「手把青秧挿満田、低頭便見水中天。六根清浄方為道、退歩原来是向前。(南北朝時代の布袋和尚の詩。手で緑の苗を水田いっぱいに植え、頭を下げたら水の中の空が見える。〈苗の根が腐らなければ稲が収穫される〉六根清浄こそ道〈中国語では稲と同音〉が得られる。後退が前進である。)田植えは勤勉な農家の仕事だが、その中には深い哲理が含まれており、つまり物事を成し遂げるには足を地に踏み入れて着実に、朝から晩まで耕し、一意専心にひたむきしなければならない。邪魔されず全神経を集中し、後退が前進するためである道理を理解してのみ、物事の行く先を識別し、先憂後楽の喜びを収穫することができる。 今年は中日国交正常化50周年で、両国の関係は多くの困難に直面しており、必ずしも満足のいくものではないが、相互理解と認識の促進は変わらぬ方向であり、困難を克服する勇気と決意は外因に影響されない力である。小さな苗が元気で育ち、中日友好の種が生徒の皆さんの心の中で根付き、葉を広げることを願っている。


 
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